狭く屈折あり

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【 世界一の微笑 】
棺桶に入った母と、二人で最後の酒を飲む。

色々と謝らなくてはいけない事があって、
酒を飲みながら謝る。

うっすらと微笑みを浮かべているような、母の顔。

何も喋らないけど、
全てを赦して貰ったような気がした。

母の愛に甘えた後付の解釈をしてるのか、それが正しい事なのか、分からない。

でも、多分、きっと、間違えてない。
ありがとう。
最後まで、ありがとう。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 ただ 】
涙が止まらない。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 愛 】
力ない母を、ほっそりしてしまった母を、そっと抱き締める。
少し安心したようで、呼吸が緩やかになる。

痩せて骨ばってしまった母の身体。
だから余計に直に響く心臓のリズム。

喋らなくなってしまった。
お風呂沸いたよと、言う事もなくなってしまった。
指を握ってくれなくなってしまった。
寝ている僕に毛布をかけてくれる事もなくなってしまった。
帰宅時間を尋ねるメールをくれる事もなくなってしまった。
ワイシャツのボタンをとめてくれることもなくなってしまった。


でも、
その温もりと心臓の鼓動はからは、紛れもない愛を感じる。

途方もない愛。

抱き締めた母の胸から、直接、暖かい安らぎを感じる。



僕はいつも、捻くれたように振る舞い、厭世的な事ばかり言い、ネガティブな事ばかりいっていた。
自分を卑下する事に慣れていた。


だが、これからはそれも改めなくては。

僕には母からもらった物がある。
一番大きなプレゼント。
誇らしい、誇らしい、プレゼント。

それは、間違いなく僕の中にある。
暖かく、わかる。

辛いけど、
その贈り物に恥ずかしくない人生を送るよ。
絶対に。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 痛み 】
実家に戻ると全ての物が母の思い出に溢れている。
ありありと思い出せる。
フラッシュバックする。

声が。
仕草が。

愛が。

どこをみても、胸が痛い。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 夕暮れ 】
窓の外からは、遠くで子供たちが遊ぶ声。

優しい夕日が差し込む病室。

安らかな寝顔ですやすやと眠る母。

この時間がずっと続けばいいのに。
と、罪な事を思う。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 無い 】
現実に、筋書きなんてない。
起承転結なんて無い。

起こる事が、因果の結果に起こるだけ。

美談なんて、それに都合よく後付けしただけ。

現実は、美しくもないし、綺麗でもない。

トイレにいっている時、食事を買いに行ってる時に、なくなっているかもしれない、怖い。

形の無いものの殆どは意味がない。


ただし、形のないもののなかで、母に貰った無償の愛だけは、ここにある。
心の中にしっかりとある。

わかる。

暖かい。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 世界に一つ 】
世界にひとつしかない、お袋の手。
世界一のお袋の手。
俺を形創ったお袋の手。

その手の温もりは昔のままなのに、数日のうちに骨になるなんて。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 生きたい 】
喉が乾いたと、一時的に起き、かっと開いたその目は、紛れもなく生きたいと言っている。

万の言葉より、説得力と影響力をもって、僕の心に刺さる。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 呼吸 】
次の一息で最後になるんじゃないかと、何度も思う。

大事な人が息をし続けてくれてるという、当たり前のことをこんなにも有難いと思う。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
【 しん 】
しんとした病室に、母と二人。

力がなくなってきているのか、胸水のためなのか、時折、呼吸がとまり、このまま止まってしまうのではないかと思い、堪らなく胸が痛い。

無力感で、唐突な事で、あまりの事実の大きさに、考えがまるでまとまらない。

幾千、幾万の料理を作ってくれ、僕を抱き締めてくれ、叱ってくれ、教えてくれた、母の手はもう動かない。

温もりだけは、昔のまま。

その温もりさえも、間もなく失われ、二度と触れることも出来ないと思うと、寂しさが込み上げてくる。

だから、今はこの、
闇に落ちていく時間。

夜の底で二人。

手の温もりを忘れないぞと、胸痛みと共に胸に刻む。
| - | comments(0) | posted by しょうじ |
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